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本多・藤嶋効果と光触媒

 

1968年に東京大学の大学院生であった藤嶋昭氏が電子写真の画像材料としての基礎研究の一環として、光に応答する酸化物半導体の研究をしていたことに端を発します。当時、すでに酸化亜鉛や硫化カドミウムを電極として、水溶液中で光照射すると光の強さに比例して電流が流れることが解かっており、ドイツやアメリカでも盛んに研究が行われていました。その頃、藤嶋氏は偶然にも酸化チタンの単結晶を手に入れました。その酸化チタンの単結晶をダイヤモンドカッターでスライスし電極に使ってみました。対電極に白金電極を使い閉鎖回路をつくり酸化チタンにキセノン燈の光を照射してみました。驚いたことに、酸化チタンと白金の両電極からガスがブクブクと出てきました。早速、これらの気体を採取し、ガスクロマトグラフで調べました。酸化チタンからは酸素、白金からは水素が発生していました。結果的に水が光照射によって酸素と水素に分解されていることが解かりました。しかも、この水の分解によって酸化チタン自身は溶解せず、何日間も光照射を続けてもその表面特性は変化が見られなかったのです。この発見は植物の光合成によく似ていました。

「本多・藤嶋効果」と名付けられ、世界に発表されたことで世界中の科学者の知る所となり、以来今日まで酸化チタンを上回る半導体光触媒は報告されていません。従って、半導体光触媒の発見者は藤嶋昭氏(現:東京大学大学院工学系研究科教授・工学博士)であり、我国発信のもので、日本は光触媒先進国といえます。

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図A

図Aのような酸化チタン電極と白金電極からなる電気化学セルを用い、酸化チタン電極に紫外光をあてると酸化チタン電極から酸素が、白金電極から水素が発生しました。この結果は、電気を使わなくても光によって水を酸素と水素に分解できる、すなわち、光エネルギーを直接、水素エネルギーに変換できることを示したものです。 図Aの二つの電極を図Bのように一体化にしても同じ機能があり、これを光化学ダイオードといいいます。さらに、図Cのように粉末の半導体微粒子に白金をつけた、いわゆる半導体光触媒がつくられて研究されました。そしてこれも図Aと同じ機能があり、図Aよりも効率が高いことがわかったのです。ここでの金属の役割は、光電極セルと同様に、水素発生のための触媒です。このタイプの光触媒は水の光分解を効率よく行えるだけでなく、水と有機物を反応させて水素を容易に取り出せることができるので光によって不要な有機物から水素を得る方法として注目されました。

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図B
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図C

この反応は昔、石炭と水から石炭ガスを作るために行われていましたが、非常な高温でないと起こりません。それが室温で起こるのですから、酸化チタンの光酸化力の強さがわかると思います。ちなみに、この強力な光酸化力は酸化チタンの価電子帯電子の酸化電位が高いためです。この光酸化力によりほとんどの有機物は完全に酸化され、窒素酸化物などもさらに酸化されます。細菌もその表面が光触媒によって光分解されるので死滅します。この強い光酸化力が酸化チタン光触媒の第一の特徴です。